現代社会の盲点とシングルタスクの原則

一度に多くのことを同時にしていたり、目の前にやるべき仕事があるのに

ついスマホを手に取ってしまうということはありませんか?

この記事では、やるべき仕事の効率をグッと上げるシングルタスクの重要性についてお伝えします。

また、現代人が陥りやすい罠とその対策についても解説します。

「私たちの文化は、生産性とはなにかという定義を見失っています。一度にどれだけ多くのタスクをこなせるかで能率の良さを測っているとしか思えません。」

レスリー・ウィリアムズ

マルチタスクの幻想

実のところ、神経科学的には

マルチタスクは存在しないと言われています。

 

実際は、タスクスイッチングといって、短時間のうちに複数のタスクを次々に切り替えることをしています。

それがわずか1/10秒以内の短い時間に起こるので、意識では気づけず、あたかも同時並行で複数のことをしているように錯覚します。

マルチタスクをしようとすると、優先順位を決めるために脳の前頭前野で取り合いが起こることが数々の研究でわかっています。

そして、ストレスホルモンのコルチゾールの分泌が多くなり、水面下で多くの影響を脳に及ぼします。

 

恐怖、不安などのネガティブ感情が優勢になる(扁桃体の萎縮)

認知機能の低下(灰白質の萎縮)

衝動をコントロールする力の低下(ニューロン萎縮)

 

マルチタスクをしようとすると脳が縮んでいくことが客観的に明らかになってきています。

ただし例外として、単純作業や体で覚えていることは同時にしても問題ありません。

例えば、オーディオブックを聞きながら洗濯物を畳むのは、特に何も考えずできますよね。

大人は自転車に乗りながら片手で電話をできても、自転車を練習し始めたばかりの子どもにはできないですよね。

つまり、意識的な努力を必要とする作業は同時にはできないということです。

現代社会に潜む罠

「勉強中にスマホを見はじめて、気づいたらすごい時間が経っていた。」

「コミュニケーションの場であるはずの食卓で家族全員がテレビ番組をチラチラ見ながら食事をする。」

 

当てはまる節はありませんか?

現代社会ではこういう誘惑がとても多いです。

怖いのはそれらが非常に巧妙にデザインされているので、存在に気づくことさえない場合があるということです。

さらにその影響は、対人関係にまで及びます。

 

「最近の子はスマホに釘付けで、集中力がないわ」とよく言われますが

全ての非がわたしたちにあるわけではない

ということをここで押さえておきましょう。

テクノロジーの誘惑

電車に乗っていたり、テレビ番組を見ていると、知らない間に広告を見入ってしまうことはありませんか?

それは広告が、生理学的に反応しやすいように巧妙にデザインされていることに加え

人間の脳は目新しさに反応するからです。

 

 

わたしたちの脳は、長い歴史の中で、新しい変化にいち早く気づいて適応するように進化してきたので、それはそれで必要な能力だったはずです。

問題は現代社会ではそのような刺激があまりにも多いことです。

「情報社会」と表現されるように、わたしたちは今までになかったくらい大量の情報に囲まれて生活しています。

そういう刺激や誘惑に無意識下で反応してしまうとなれば、意志の力で抑えようとするのは、現実的ではありません。

まずは、自分にとって望ましくない誘惑がどのくらい身の回りにあるかを認識することが大切です。

シングルタスクの原則

最後にお伝えするのは、マルチタスクの対極にある

凡人の武器 シングルタスク」です。

 

 

「シングルタスクを身につける」(learn) よりは

シングルタスクを学び直す」(relearn)

と表現したほうが適切だと思います。

 

私自身、この概念を教えてもらったばかりの頃は、頭で重要性を分かっていても実行するのが難しかったです。

1時間は集中すると決めていても、45分くらい過ぎた辺りでブラウザを次々立ち上げ始めたり、SNSを覗き始めて別の世界に行ってしまう

 

見てはダメ、我慢我慢。とどれだけ唱えても、意志の力だけでは抵抗できない。

身を任せ、見て見ぬ振りをしたほうがラクなのが人間です。

 

そのような、気合や精神論的アプローチで、「絶対見ないぞ、気にしないぞ」と誘惑を抑え込むのではなく、誘惑を届かないようにする、という対処の仕方がより現実的です。

 

そこで役に立つのが、瞑想の記事でも紹介した

「コアタイムを作る」という方法です。

 

まず1日のどこかにコアタイムを設けます。

そして、その時間中は別のことを一切しないと決めます。

それをするか、もしくは何もしないか、の2択にして、強制的に今ここに身体を置くことで、一点集中できる環境を作ります。

 

コアタイムの良いところは、「何もしなくていい」という選択肢を事前にルールとしているので、仮にできなくても罪悪感を感じる必要はありません。

なにもしない、というシングルタスクを実行できた」と自分を褒めれば良いのですから。

 

私は、留学中「家でのコアタイム中は、必ずスマホをキッチンの電子レンジの上に置く」と決めていました。

自分なりのルールなども加えながら、まずは週末の1時間からでもコアタイムを取り入れてみてください。


「やることがたくさんあるし、時間もない!」

と焦る気持ちを感じたら、一歩引いて、このシングルタスクの原則を思い出してみてください。

忙しいときこそ、一つ一つ着実にこなしていく方が、最終的な効率や満足感は高くなります。

して、フローやゾーン、没頭と呼ばれるような「Mindfulな状態」も感じられるはずです。

今ここにこそ集中して、着々と理想の目標に近づいていきましょう

追記

コアタイムに関して、一つポイントがあります。

それは「何もしないということが最も苦痛(好ましくない)」ということです。

ある研究では、対象者に15分の間、電気ショック装置以外何もない部屋にいてもらい、彼らが何もせずに過ごすのか、電気ショックを自ら受けるのかを観察しました。その結果、多数は電気ショックを受けることを選ぶことがわかりました。

興味深い示唆が多い論文なので興味がある方は、Google翻訳なども使いながら読んでみてください。

Just think: The challenges of the disengaged mind-Timothy D. Wilson

 

※「被験者の中に、たまたま電気ショックマニアなドSな人がいたかもしれないだろう…」と思われた勘の鋭い方のために補足しておくと、15分間に190回も電気ショックを自分に与えた男性がいたようですが、外れ値(outlier)として分析対象には含まれていないのでご安心を(笑)

本日もお読みいただき、有難うございます。

Kosuke

 

「未来とは、今である。」

マーガレット・ミード

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